分析

ステーブルコインの業界動向(2026年4月13日付け)

Stablecoin Intelligence 編集部2026年4月12日

ステーブルコイン業界の最新動向:サービス実装にむけた進展あり

世界各地で規制整備が進むとともに、金融機関やテクノロジー企業による具体的なサービス実装の進展が見られました。 特に注目すべきステーブルコイン関連のニュースは以下の通りです。

注目ニュース

ソニー銀行がエンタメ決済にステーブルコイン導入、5年で総額10倍へ

ソニー銀行は、エンターテインメント事業での決済手段としてステーブルコインの活用を計画しており、ステーブルコインによる決済総額を5年間で現在の10倍に拡大することを目指しています。これにより、決済時の価格変動リスクを抑え、安定した取引が可能になるとされています。

米財務長官、ステーブルコイン市場の巨大な成長予測を支持

米国の財務長官が、ステーブルコイン市場が将来的に約23.9京円(16兆ドル)規模に達するとの予測を支持しました。この発言は、ステーブルコインが金融システムにおいて重要な役割を果たす可能性を示唆し、市場規模の大幅な拡大への期待を表明しています。

香港HSBCとAnchorpointがステーブルコイン発行ライセンス取得

香港金融管理局(HKMA)は、HSBCとAnchorpoint Financialに対し、香港で初めてステーブルコインの発行を許可するライセンスを付与しました。これにより、両社は香港の規制枠組みの下でステーブルコインの発行業務を行うことが可能になります。これは、HKMAが2023年12月に発表したステーブルコイン発行者向けの規制枠組みに基づくものです。

OpenEdenがステーブルコイン保有者への利回り提供を目指す

OpenEdenは、ステーブルコイン保有者が利回りを得られないという課題に対し、トークン化されたマネーマーケットファンドを提供しています。このファンドは、Bank of New Yorkがファンドマネージャー兼カストディアンとして管理する実際の原資産をトークン化したもので、伝統金融における流動性が高くリスクフリーな商品をオンチェーンで利用可能にすることを目指しています。

ポリゴンラボがステーブルコイン決済事業拡大のため最大1億ドルの資金調達を協議

ブロックチェーン開発企業のポリゴンラボは、ステーブルコイン決済事業の拡大に向けて、最大1億ドル(約158億円)規模の資金調達を検討しています。この資金調達は、米国向けの規制対応ステーブルコイン決済基盤「ポリゴン・オープン・マネー・スタック」の強化に関連しています。

UBSらスイス大手6行、スイスフラン建てステーブルコインのサンドボックス実験を開始

スイスの大手金融機関6行が、スイスフラン(CHF)建てステーブルコインの共同サンドボックス実験を開始しました。この取り組みは、スイス国内に規制に準拠したCHF建てステーブルコインが存在しないという課題に対応するもので、デジタルマネーエコシステムの構築や決済効率の向上を目指し、2026年中に実施される予定です。

Circle社がステーブルコイン決済向けマネージドペイメントを発表

Circle社は、銀行、決済サービスプロバイダー、フィンテック企業、グローバル企業向けに、ステーブルコイン決済ソリューション「Circle Payments Network (CPN) Managed Payments」を発表しました。このソリューションは、企業がデジタル資産を直接管理することなく、規制されたデジタルドルの速度と効率性を利用できるように設計されています。

韓国が包括的なデジタル資産法案を提案、ステーブルコイン規制も含む

韓国の与党民主党は、デジタル資産の包括的な法的枠組みを定める「デジタル資産基本法」を提案しました。この法案は、ステーブルコインを含む価値連動型デジタル資産の発行体に対し、認可、厳格な準備金、資本、運営基準を義務付けるものです。

SBI VCトレード近藤氏、RLUSDの100万円制限回避に言及

SBI VCトレードの近藤智彦社長は、SBIグループが国内での発行・流通を目指す米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」について、海外発行ステーブルコインに存在する100万円の取引制限が法人利用で課題となっていると指摘しました。RLUSDではこの制限を受けない形での取り扱いを目指す意向を示しています。

Circle社がUSDCを10億ドル発行、供給量が増加

ステーブルコインUSDCの発行体であるCircle社が、24時間以内に10億ドル相当のUSDCを新規発行しました。この新規発行により、USDCの供給量が増加しました。これは、通常、市場からの需要に応じる形で行われるものです。

業界の傾向

a. サービス実装の進展

ステーブルコインのサービス実装に向けた進歩は、多岐にわたる分野で見られます。

まず、ソニー銀行がエンタメ決済にステーブルコイン導入、5年で総額10倍へというニュースは、日本国内の大手金融機関が具体的なユースケースとしてステーブルコインの導入計画を発表した点で重要です。これは、フィアットペッグ型ステーブルコインの安定性を活用し、既存の事業領域に組み込む動きとして今後の動きが注目されます。

次に、香港HSBCとAnchorpointがステーブルコイン発行ライセンス取得は、規制された環境下でのステーブルコイン発行基盤が整備されつつあることを示しています。これにより、香港において金融機関が公的にステーブルコインを発行し、サービス提供を行う道が開かれました。

さらに、UBSらスイス大手6行、スイスフラン建てステーブルコインのサンドボックス実験を開始という動きは、欧州の主要金融機関が国内法定通貨建てのフィアットペッグ型ステーブルコインの可能性を模索していることを示します。これは、デジタルマネーエコシステムの構築と決済効率の向上を目指す、実証的な取り組みです。

Circle社がステーブルコイン決済向けマネージドペイメントを発表したことも、サービス実装の進展を示すものです。CPN Managed Paymentsは、企業がデジタル資産を直接管理することなく、規制されたデジタルドルの利点を享受できるソリューションであり、金融機関が既存の決済システムにステーブルコイン決済を組み込むための技術基盤を提供します。

ポリゴンラボがステーブルコイン決済事業拡大のため最大1億ドルの資金調達を協議していることも、ステーブルコイン決済基盤の強化と拡大に向けた投資が活発であることを示しています。特に、米国向けの規制対応ステーブルコイン決済基盤の構築は、将来的なサービス普及を見据えたものです。

b. サービス普及の進展

ステーブルコインの普及に向けた動きもいくつか見られます。

米財務長官がステーブルコイン市場の巨大な成長予測を支持したことは、米国政府がステーブルコインの将来的な普及と金融システムにおける役割を高く評価していることを示唆しています。これは、市場全体への信頼感を高め、さらなる普及を後押しする可能性があります。

Circle社がUSDCを10億ドル発行、供給量が増加したことは、市場におけるUSDC(フィアットペッグ型)への需要が実際に増加していることを示す具体的なデータです。ステーブルコインの供給量増加は、その利用が拡大している証拠の一つと言えます。

c. 課題

ステーブルコイン業界には、進展とともに新たな課題も浮上しています。

OpenEdenがステーブルコイン保有者への利回り提供を目指すというニュースは、既存のステーブルコイン(主にフィアットペッグ型)が保有者に直接的な利回りをもたらしていないという課題を浮き彫りにしています。発行体が利息を全て得ている現状に対し、オンチェーンでリスクフリーな利回りを提供しようとする動きは、この課題への解決策を模索するものです。

また、SBI VCトレード近藤氏、RLUSDの100万円制限回避に言及というニュースは、日本における既存の規制が、海外発行のフィアットペッグ型ステーブルコインの法人利用における実用性を阻害しているという具体的な課題を指摘しています。特に100万円という取引制限は、大口取引を必要とする法人にとっては大きな障壁となります。

d. 改善

検知済みの課題に対して、新たな解消の兆しや解消された事実も見られます。

韓国が包括的なデジタル資産法案を提案、ステーブルコイン規制も含むというニュースは、デジタル資産、特にステーブルコインに関する包括的な法的枠組みを構築しようとする動きであり、これは規制上の不確実性という課題に対する改善の兆しと言えます。発行体に対する認可、準備金、資本、運営基準の義務付けは、投資家保護と市場の健全性を高めることを目的としています。

香港HSBCとAnchorpointがステーブルコイン発行ライセンス取得も、規制の整備とそれに基づく具体的な事業展開を可能にした点で、規制上の課題に対する改善事例です。明確な規制枠組みの下で発行されるステーブルコインは、より信頼性が高く、幅広い利用が期待されます。

まとめ

ステーブルコイン業界は今週も、規制の整備と具体的なサービス実装が加速度的に進展する重要な局面が続いています。米財務長官による市場成長への期待表明や、Circle社のUSDC発行量増加は、市場規模の拡大と需要の高まりを裏付けています。

香港や韓国ではステーブルコイン発行に関する規制枠組みが具体化し、金融機関によるライセンス取得や包括的な法案提案が進んでいます。これは、ステーブルコインが金融システムに組み込まれる上で不可欠な「信頼性」と「法的安定性」を確立する動きと言えます。

サービス実装の面では、ソニー銀行によるエンタメ決済への導入計画、スイス大手銀行によるスイスフラン建てステーブルコインのサンドボックス実験、そしてCircle社やポリゴンラボによる決済ソリューションの強化など、多様なユースケースと技術基盤の整備が着々と進んでいます。これらの動きは、ステーブルコインが実体経済における決済手段や金融インフラとしての役割を強化していることを示唆しています。

しかし、OpenEdenが指摘するステーブルコイン保有者への利回り提供の課題や、日本の100万円制限のような既存規制による実用性の制約も残存しています。これらの課題に対し、新たな金融商品や規制回避策が模索されており、業界は課題解決に向けて前進しています。

総じて、ステーブルコイン業界は、規制当局の理解と協力、そして金融機関やテクノロジー企業の積極的な参入によって、着実に発展の道を歩んでいます。

免責事項: このコラムは情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。 投資判断は自己責任で行ってください。